エンディングノートは、もしもの時に家族が困らないよう、自分の情報や希望を残すための大切なツールです。しかし、何をどう書けばよいのか迷う方も多いでしょう。この記事では、エンディングノートの基本から実際の記入例まで、家族に感謝される書き方を詳しく解説します。今から準備して、将来の安心を手に入れましょう。
エンディングノートの書き方:基本のポイントと3つの心得
エンディングノートを書き始める前に、まずは基本的な心構えを理解しておきましょう。正しいアプローチで始めることで、より効果的なエンディングノートになります。

エンディングノートを書く3つの基本ポイント
- 完璧を目指さない:すべての項目を一度に埋める必要はありません。分かる範囲から少しずつ書き進めましょう。
- 定期的に更新する:年に1回程度、内容を見直して更新する習慣をつけましょう。
- 読み手を意識する:家族が理解しやすい言葉で、明確に書くことを心がけましょう。
エンディングノートを選ぶ際のポイント
市販のエンディングノートには様々な種類があります。自分に合ったものを選ぶことが大切です。
- シンプルタイプ:基本情報が中心の初心者向け
- 詳細タイプ:財産管理から葬儀の希望まで細かく記録できる
- 冊子タイプ:項目ごとにページが分かれている
- ルーズリーフタイプ:追加・差し替えが可能
- デジタルタイプ:スマホやパソコンで管理できる
どのタイプを選ぶにせよ、自分が継続して記入できるものを選ぶことが最も重要です。あるいは、市販品ではなく、ノートや専用ファイルを自分で用意して作成することも可能です。
エンディングノートの書き方:個人情報と連絡先の記入例
エンディングノートで最初に記入すべきは、基本的な個人情報と重要な連絡先です。この部分は比較的記入しやすく、エンディングノート作成の良いスタートになります。
個人情報の記入例
【氏名】山田 太郎(やまだ たろう)
【生年月日】1975年4月1日(満47歳)
【住所】〒123-4567 東京都○○区△△町1-2-3 □□マンション101号室
【電話番号】自宅:03-1234-5678 携帯:090-1234-5678
【メールアドレス】yamada@example.com
【血液型】A型 RH+
【アレルギー】ハウスダスト、えび
過去の重要な情報も記入しておくと役立ちます。
【出身地】北海道札幌市
【最終学歴】○○大学△△学部 1997年卒業
【職歴】株式会社□□(1997年~2010年)、株式会社△△(2010年~現在)
重要な連絡先の記入例
万が一の時に連絡すべき人や機関のリストを作成しましょう。
【家族】
・配偶者:山田 花子(妻)090-8765-4321
・長男:山田 一郎 090-2345-6789
・長女:山田 梅子 090-3456-7890
【親族】
・弟:山田 次郎(緊急連絡先)090-4567-8901
・姉:佐藤 和子(東京在住)090-5678-9012
【友人・知人】
・親友:鈴木 一郎 090-6789-0123
・隣人:佐々木 健太 03-2345-6789
【職場関係】
・上司:田中 部長 090-7890-1234
・同僚:伊藤 さん 090-8901-2345
かかりつけ医や弁護士、税理士などの専門家の連絡先も忘れずに記入しましょう。
エンディングノートの書き方:財産と保険の情報整理
財産や保険の情報は、相続手続きに必要不可欠です。家族が探し回ることのないよう、できるだけ詳細に記録しておきましょう。
銀行口座と金融資産の記入例
【普通預金】
・□□銀行 △△支店 口座番号:1234567
(キャッシュカードは自宅金庫に保管)
・○○銀行 △△支店 口座番号:7654321
(ネットバンキング利用中、ID・パスワードは別紙参照)
【定期預金】
・□□銀行 △△支店 口座番号:2345678
満期日:2025年3月31日
(証書は自宅書類棚の青いファイルに保管)
【証券口座】
・○○証券 口座番号:ABC12345
(取引報告書は自宅書斎の黒いファイルに保管)
暗証番号やパスワードは、セキュリティ上の観点から別紙に記録し、信頼できる家族にのみわかるよう工夫しましょう。
保険契約の記入例
【生命保険】
・○○生命 証券番号:L123456789
死亡保険金:3,000万円
受取人:妻 山田花子
(証券は自宅金庫に保管)
(担当者:鈴木さん 090-1111-2222)
【医療保険】
・△△生命 証券番号:M987654321
入院給付金:日額10,000円
(証券は自宅金庫に保管)
【自動車保険】
・□□損保 証券番号:C345678901
満期日:毎年4月1日更新
(自動車関連書類と一緒に保管)
不動産や株式、貴金属、美術品などの資産情報も忘れずに記入しましょう。
エンディングノートの書き方:医療・介護の希望を明確に
医療や介護に関する希望は、自分の意思を尊重してもらうために非常に重要です。具体的かつ明確に記入しましょう。

医療に関する希望の記入例
【延命治療について】
人工呼吸器や人工心肺などの延命治療は望みません。
ただし、一時的な治療として医師が必要と判断した場合は、
最長3週間までの使用は許可します。
【痛みの緩和について】
痛みはできるだけ和らげてほしい。
副作用などがあっても、痛みの緩和を優先してください。
【医療に関する意思決定者】
私が判断できない状態になった場合は、以下の順で判断をお願いします。
1. 妻 山田花子
2. 長男 山田一郎
3. 弟 山田次郎
アレルギーや持病、常用薬についても詳しく記入しておくと役立ちます。
介護に関する希望の記入例
【介護を受けたい場所】
できるだけ自宅で介護を受けたいが、
家族の負担が大きすぎる場合は施設入所も検討してください。
【希望する介護施設タイプ】
介護施設に入る場合は、
個室があり、庭園があるような明るい雰囲気の施設を希望します。
訪問しやすい自宅から30分以内の場所が理想です。
【避けたい介護方法】
同性介護を希望します。特に入浴の介助は男性スタッフは避けてください。
介護サービスの利用歴や要介護認定の情報なども記入しておくと参考になります。
エンディングノートの書き方:葬儀・お墓の希望を伝える
葬儀やお墓に関する希望は、家族にとって判断が難しい部分です。具体的な希望を伝えておくことで、家族の負担を軽減できます。
葬儀に関する希望の記入例
【葬儀の形式】
家族葬を希望します。参列者は親族と親しい友人のみで、
30人程度の小規模な形式にしてください。
【宗教・宗派】
浄土真宗の作法でお願いします。
檀家寺は東京都○○区の□□寺です。(住職:△△和尚 03-1234-5678)
【葬儀社】
○○葬祭(03-2345-6789)と以前から話をしています。
担当者の田中さんに相談してください。
【服装】
遺影写真は自宅アルバム「2020年家族旅行」にある青いジャケット姿の写真を使ってください。
服装は普段着のままで構いません。黒一色ではなく、彩りのある服装にしてください。
葬儀費用の目安や香典返しの希望なども記入しておくと参考になります。
お墓に関する希望の記入例
【埋葬方法】
火葬後、○○霊園の家族墓に納骨してください。
(墓地の権利証は自宅金庫に保管しています)
【墓石について】
すでに家族墓があるので、新たに購入する必要はありません。
戒名は「△△院□□□□居士」としてください。
【墓の管理について】
年間管理費は○○円で、毎年5月に自動引き落としになっています。
(引き落とし口座:□□銀行 △△支店 普通 1234567)
最近では樹木葬や海洋散骨など、選択肢が増えています。希望がある場合は具体的に記入しましょう。
エンディングノートの書き方:デジタル資産の管理方法
現代生活では、デジタル資産の管理も重要です。パスワードやアカウント情報を整理しておきましょう。
デジタルアカウントの記入例
【メールアカウント】
・Gmail:yamada@gmail.com
(パスワードと回復方法は別紙記載)
・仕事用メール:t.yamada@company.com
(会社のIT担当に連絡)
【SNSアカウント】
・Facebook:yamada.taro
(アカウント削除を希望)
・Instagram:taro_photo
(写真データは保存してからアカウント削除)
【オンラインショッピング】
・Amazon:yamada@gmail.com
(定期購入サービスあり、解約必要)
・楽天市場:yamada_taro
(ポイント残高あり、家族で使用可)
パスワード管理には注意が必要です。セキュリティを考慮しながら、必要な人だけが確認できる方法を検討しましょう。
デジタルデータの記入例
【重要なデータの保存場所】
・家族写真:リビングのパソコン内「家族写真」フォルダ
(バックアップはGoogleドライブにも保存)
・仕事関連データ:書斎のパソコン内「仕事」フォルダ
(会社の機密情報含む。会社に返却要)
・思い出の動画:外付けHDD(リビング棚の黒いケース)
【デジタル遺品の希望】
・スマートフォン内のデータは、家族写真を残して削除してください
・SNSアカウントは、1ヶ月の追悼期間の後、すべて削除希望
・クラウドストレージの写真は長男に引き継いでほしい
デジタル機器のロック解除方法も忘れずに記入しておきましょう。
エンディングノートの書き方:大切な人へのメッセージ
エンディングノートには、事務的な情報だけでなく、大切な人へのメッセージも残しておきましょう。心のこもったメッセージは、残された家族にとって大きな慰めになります。

家族へのメッセージ記入例
【妻 花子へ】
40年の結婚生活、本当にありがとう。
あなたのおかげで幸せな人生を送ることができました。
いつも私の我儘を受け入れてくれて感謝しています。
これからは自分の時間を大切に、やりたかったことを思う存分楽しんでください。
健康に気をつけて、残りの人生を明るく過ごしてください。
ずっと愛しています。
【子どもたちへ】
一郎、梅子へ
立派に成長した姿を見ることができて、父親として本当に幸せでした。
仕事が忙しく、十分に時間を共有できなかったことが心残りです。
それでも二人とも素晴らしい大人になり、誇りに思っています。
これからも家族を大切に、健康で幸せな人生を歩んでください。
いつも見守っています。
親族や友人、お世話になった方々へのメッセージも書いておくとよいでしょう。
人生の振り返りの記入例
【私の人生で大切にしてきたこと】
人との縁を大切にすること。
出会った人々との関係を大切にし、困っている人がいれば力になろうと
心がけてきました。
人生の喜びは、人とのつながりの中にあったと思います。
【心残りなこと】
若い頃からもっと健康に気を使えば良かった。
仕事に追われ、家族との時間をもっと作れば良かった。
海外旅行にもっと行きたかった。
【伝えたい家訓や価値観】
「誠実であること」「感謝の気持ちを忘れないこと」
この二つを大切にしてきました。
子や孫にもこの価値観を伝えていってほしいと思います。
人生観や価値観、後悔していることなども率直に書くことで、自分の人となりが伝わります。
エンディングノートの書き方:保管場所と更新方法
最後に、完成したエンディングノートの保管場所と更新方法について記入しておきましょう。せっかく作成しても、家族が見つけられなければ意味がありません。
保管場所の記入例
【エンディングノートの保管場所】
このノートは自宅書斎の机の引き出し(一番下)に保管しています。
コピーを1部、銀行の貸金庫にも保管しています。
(貸金庫の鍵は自宅金庫内)
【重要書類の保管場所】
・保険証券:自宅金庫(暗証番号は妻のみ知っています)
・不動産関係書類:リビング本棚の青いファイル
・公的書類(パスポート、年金手帳など):リビング本棚の赤いファイル
更新記録の記入例
【更新履歴】
2023年4月1日:初版作成
2023年9月15日:銀行口座情報更新
2024年1月10日:医療の希望内容変更
2024年4月5日:全体見直し・最新情報に更新
【次回更新予定】
2025年4月頃(年に1回の定期見直し)
エンディングノートは定期的に更新することが大切です。年に1回など、定期的な見直しの機会を設けましょう。
エンディングノートの書き方まとめ:今日から始める3つのステップ
エンディングノートは一度に完成させる必要はありません。以下の3つのステップで、無理なく始めましょう。
今からできる簡単なステップ
- まずは基本情報から:名前、生年月日、連絡先など、簡単な情報から書き始めましょう。
- 項目ごとに少しずつ:全ての項目を一度に埋めようとせず、分かる範囲から記入していきましょう。
- 定期的に更新する習慣を:誕生日や年始など、決まった時期に見直す習慣をつけましょう。
エンディングノートは「終わり」のためではなく、自分らしく生きるための道具です。今から準備することで、残された時間をより充実させ、大切な人に安心を残すことができます。
少しずつでも始めることが、将来の自分と家族を守ることにつながります。この記事を参考に、あなたらしいエンディングノートを作成してみてください。
エンディングノートは単なる「もしもの時のための準備」ではなく、自分の人生を見つめ直し、大切な人への思いを伝える貴重な機会です。今日から少しずつ始めて、自分らしい人生の締めくくりを準備してみましょう。
市販のエンディングノートからのスタートではなく、先ずはお金をかけずに試してみたいという方は、弊社が無料でお配りしているエンディングノートをご利用ください。チャレンジしてみたい方は是非お気軽にお問合せフォームもしくはお電話下さいね。