先日、鏡を見ていて気づいたのです。以前より深くなったほうれい線、そして目尻にできた新しいシワ。でも、不思議なことに、かつてのような焦りは感じませんでした。むしろ、これらの変化が語る人生の物語に、静かな興味を覚えたのです。
年を重ねることは、多くの人にとって不安や恐れの対象です。若さという価値観が強調される現代社会では、特にそう感じる方も多いでしょう。でも、私は最近、違う視点を持つようになりました。
老いとは、実は新しい自分との出会いなのかもしれません。

例えば、若い頃は気づかなかった朝の静けさの美しさ。急がずゆっくりと一日を始められる贅沢。そして、年齢を重ねたからこそ分かる、人との関係の深さや温かさ。
確かに、体力は以前ほどではありません。でも、その代わりに得たものもたくさんあります:
深い共感力。年月を重ねることで、人の喜びや悲しみがより深く理解できるようになりました。
判断力。経験を重ねることで、本当に大切なものが見えてくるようになりました。
自己受容。完璧を求めすぎない、ありのままの自分を受け入れられるようになってきました。
人生の優先順位。若い頃は仕事や成功に躍起になっていましたが、今は家族との時間や自分の心の平安を大切にできるようになりました。
感謝の気持ち。日々の小さな幸せや、周りの人々の存在の大切さに、より深く気づけるようになりました。
柔軟な価値観。「こうでなければならない」という固定観念から解放され、多様な生き方を受け入れられるようになりました。
時間の使い方。「急いで結果を出さなければ」というプレッシャーから解放され、プロセスを楽しめるようになりました。
老いることは、新しい扉を開くようなものです。その扉の向こうには、まだ見ぬ自分との出会いが待っているのかもしれません。シワや白髪は、その過程で得た勲章のようなもの。私たちの人生の証なのです。
若さを追い求めるのではなく、今この瞬間の自分を大切にする。そんな生き方に、新しい幸せを見出せるのではないでしょうか。
老いは決して敵ではありません。それは、人生という長い旅路の中で出会う、新しい自分との素敵な出会いなのです。この出会いを、心から楽しみたいと思います。
今日も鏡の中の自分に微笑みかけながら、こう思います。「また新しい私に会えたね」と。