ある日の話しです。喫茶店での出来事でした。 久しぶりにお会いした〇〇君のお父さんとお母さん、
『久しぶりです、お元気でしたか?』 と声をかけました。
『まったくダメだよ!』と〇〇君のお父さん、ダメの意味は体の衰えの事を言っているのか?気持ちが萎えているのか? 聞くことを躊躇した私。
最初は、何とか元気になるように励ましたかった私は、思いついた言葉を並べて伝えてみました。
『喫茶店にこれるだけで幸せじゃないですか?』
『夫婦そろって仲良く珈琲飲めるなんて幸せな事ですよ』
などと、
が、そしてそれらの言葉は全て上滑りして相手に届くことはなく、お二人の暗いムードは変わることはありませんでした。
しばらく目の前の珈琲を味わいながら、言葉伝えるのをやめる事にした私は、
ただただ、
『そんな日もありますね、 雨の日もあるみたいなもんで、いずれ止む天気のようなものですかね?!』と一言
そこで、二人の空気は少し息継ぎをしたように、
『そうね、そんな日の一日ってことなのね、』と妙に納得をされたようでした。
相変わらず、
『年寄りになると、人に会うのさえ億劫になるわ』と話をしながらも笑顔が溢れていました。
私は、どこか年齢を重ねた人を元気にすることを使命のように考えていたのかもしれません、 元気であることが正解のように励ますことや、勇気づけることをしていたのかもしれません。
その日元気のないことは、老いも若いも同じであるという事を忘れていたのです。
雨を止ませることができないように、その人のその日の気持ちがただそこにあることを受け止めること、それこそ『生きるを応援する』と言った私のしたかったことなのかもしれないと気づいた時間でした。

