お世辞と褒めるは同じこと?

white and beige rose flower bouquet

今日、あなたは誰を褒めますか?

昨日のブログでは、褒められた時に「ありがとうございます」と素直に受け取る練習について書きました。

今日は、あなたが誰かを褒める番です。

「でも、褒めるのって難しい…」 「お世辞っぽくなりそう…」 「何を言えばいいか分からない…」

そんな声が聞こえてきそうです。

大丈夫。人を褒めるのは、特別な才能ではありません。 ちょっとしたスキルなんです。

そして、そのスキルの本質は、視点を変えることにあります。

お世辞と賞賛は、まったく違うもの

まず、とても大切なことをお伝えします。

お世辞と賞賛は、まったく違うものです。

お世辞とは?

お世辞は、口先だけの言葉です。

  • 心がこもっていない
  • 相手を操作するために使われる
  • 自分の利益のために言う
  • 「何か頼みたいから、とりあえず褒めておこう」
  • 表面的で、相手の本質を見ていない

相手も、すぐに見抜きます。 そして、心は動きません。

賞賛とは?

賞賛は、心からの言葉です。

  • 相手の良いところを本当に見つけて認める
  • 見返りを期待せず、純粋に伝える
  • 具体的で、相手の努力や工夫に気づいている
  • 「素敵だな」と思ったから、素直に伝える
  • 相手の心に深く響き、関係を築く

この違いは、必ず相手に伝わります。

デール・カーネギーの『人を動かす』という本に、こんな言葉があります。

「お世辞は偽金のようなもので、使おうとすれば損をする。賞賛は本物の金貨だ」

では、本物の賞賛とは何か?

それは、視点を変えて、その人の別の側面を見つけることなんです。

woman standing on ice

葬儀で出会った、ある娘さんの話

葬儀の仕事をしていると、たくさんの人生と出会います。

ある日、お父様を亡くされた娘さんに、私はこう尋ねました。

「どんなお父様だったんですか?」

娘さんは少し複雑な表情で、こう答えました。

「本当に外面ばかりよくて、家に帰るとぶすっとして、母は苦労したでしょうし、私たち子供にとっても親しくなれる父ではなかったです」

その言葉には、長年の寂しさが滲んでいました。

望むような完璧な父ではなかった。 足りなかった部分、欲しかった父親の姿。

娘さんは、それを思う存分吐き出されました。私はただただその寂しさを受け止めるためだけにいるよう努めました。

blue lego minifig on white surface

でも、その日のお葬式には、たくさんの会葬者の方々がいらっしゃっていました。

そして皆さん、口々にお父様の思い出話をされていたんです。

「あの人には本当にお世話になった」 「困った時、いつも助けてくれた」 「優しい人だった」

私は娘さんに、こう伝えました。

「外でのお父様は、たくさんの人に心配りをされたのですね。先ほどからいらっしゃる会葬者の方々が、たくさんの思い出話とともにお世話になった話を代わる代わるにされていらっしゃるのが、とても印象的でした」

a group of people putting their hands together

すると、娘さんの表情が変わりました。

「家では知らない父の顔があって、父がたくさんの交友関係の中で信頼を繋げてくれたおかげで、私の人生で得になったこともあったのだと、今更ながらに感謝です。不器用な父だったのだけれど、父なりに精一杯生きたことを会葬者の皆さんから教えてもらって、胸がいっぱいになりました」

この時、私は改めて思いました。

娘さんは最初、「望むような完璧な父ではなかった」と語られました。 その足りなかった部分、欲しかった父親の姿を、思う存分吐き出されました。

でも、その後、別の視点から見ることで、過ぎ去った日々の中にある良い思い出も見つけることができたんです。

未完了のままの「足りない父」という満たされない思いだけで心を埋めるのは、もったいない。

なぜなら、お父様はもう戻ってくることもなく、 私たちは誰もが過去に戻ることもできません。

clear hour glass with yellow light

唯一できることは、その物事の捉え方、解釈を、これから先の自分の人生に有利になるように、豊かになるように書き換えることだけなんです。

それは、過去を美化することでも、嘘をつくことでもありません。

同じ事実を、別の角度から見る。 それだけで、心が楽になり、未来が明るくなる。

同じお父様。 同じ人生。

でも、どの方向から捉えるか、どう解釈するかで、見え方が変わるんです。

これこそが、「結活」の本質だと、私は思うのです。

褒めるとは、視点を変えること

gray and green telescope

この経験から、私は学びました。

褒めるというのは、視点の転換なんだと。

「家ではぶすっとしている父」という視点を、 「外でたくさんの人に心配りをする父」という視点に変える。

どちらも真実。 でも、どちらを見るかで、その人への感情が変わります。

そして、これは日常のあらゆる場面で使えるスキルなんです。

職場での例

❌ 「あの人、いつも細かくてうるさい」

⭕ 「あの人は、丁寧で、ミスを防いでくれている」

❌ 「あの人、仕事が遅い」

⭕ 「あの人は、慎重で、確実に仕事を進めてくれる」

❌ 「あの人、口数が少なくて冷たい」

⭕ 「あの人は、落ち着いていて、安心感がある」

家族での例

❌ 「いつも黙々と仕事ばかりしている夫」

⭕ 「家族のために、責任を持って働いてくれている夫」

❌ 「口うるさい母」

⭕ 「私のことを心配して、気にかけてくれている母」

同じ人、同じ行動。 でも、視点を変えるだけで、見え方が変わるんです。

マレーシアで学んだこと

マレーシアを訪れた時、街ゆく人々が自然に相手を褒め合っている光景を目にしました。

通りすがりの人に「その服、素敵ですね」 レストランのスタッフに「笑顔が素敵ですね」

些細なことでも、さらっと言葉にする。

これは特別な才能ではありません。習慣なのです。

そして、その習慣の根底にあるのは、 人の良い面を見ようとする視点なんです。

娘のパートナーも、私のちょっとした気遣いに、すぐに言葉にしてくれます。 “That’s very thoughtful of you!”

彼は、私の行動の「良い面」を見てくれている。 そして、それを言葉にしてくれる。

だから、私の心に温かく届くんです。

gold statue of man on top of building

視点を変える3つのコツ

では、どうすれば視点を変えられるようになるのでしょうか?

コツ1:「なぜ?」を考える

相手の行動の背景を考えてみる。

「なぜ、この人はこうするんだろう?」 「この行動の裏には、どんな意図があるんだろう?」

あの娘さんのお父様も、 「なぜ外で心配りをしたんだろう?」と考えると、 「不器用ながら、精一杯生きていた」姿が見えてきます。

forest trees marked with question marks

コツ2:別の角度から見る

一つの行動には、必ず複数の側面があります。

「細かい」は「丁寧」 「遅い」は「慎重」 「無口」は「落ち着いている」

コインの裏表のように、 同じものでも、見る角度を変えると違う姿が見えます。

コツ3:その人の強みとして捉え直す

「欠点」だと思っていたことを、 「強み」として捉え直してみる。

葬儀で出会った娘さんも、 「外面がいい=家では冷たい」という欠点を、 「外でたくさんの人に心配りをする=信頼を繋げる力」という強みとして捉え直すことで、 お父様への見方が変わりました。

1日1回の「視点転換トレーニング」

さあ、今日から始めましょう。

1日に1回、誰か1人の「別の側面」を見つけて、言葉にする。

これは、ただ人を褒める練習ではありません。 相手と自分を繋がりやすくするコツなんです。

そして、これこそが「結活」の本質だと、私は思っています。

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ステップ1:普段「気になる」人を選ぶ

あえて、完璧な人ではなく、 普段「ちょっと気になる」「苦手かも」と思っている人を選んでみてください。

その人の行動を、別の角度から見てみる。

ステップ2:「別の側面」を見つける

「この行動の裏には、どんな良い意図があるんだろう?」 「別の角度から見たら、どう見えるだろう?」

視点を変えて、相手の良い面を探してみる。

ステップ3:具体的に言葉にする

見つけたら、その日のうちに伝えましょう。

「いつも細かくチェックしてくださって、ありがとうございます。おかげでミスが減りました」

「慎重に進めてくださるので、安心して任せられます」

「落ち着いた雰囲気で、いつも職場が安定している気がします」

具体的で、温かい言葉が、相手の心を「ほっこり」させます。

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ステップ4:自分の見方が変わることを楽しむ

不思議なことに、こうして相手の良い面を見つけて言葉にすると、 自分自身の相手への見方が変わります

あの娘さんも、お父様への見方が変わりました。 そして、心が楽になったんです。

視点を変えることは、相手を褒めることであり、 同時に、自分自身を楽にすることでもあります。

a hammock from a tree over a body of water

なぜこれが「結活」なのか

私が提唱している「結活」は、人生の最期まで豊かに、いきいきと生きるための活動です。

そのために必要なのは、温かい人との繋がり

1日1回、誰かの別の側面を見つけて言葉にする習慣は、 その繋がりを作る、最もシンプルで強力な方法です。

言葉は、人と人を結びつける魔法です。

そして、視点を変える力は、 あなた自身の人生も、もっと豊かにしてくれます。

週に5人、月に20人、1年で240人…

積み重なると、あなたの周りには、 温かい関係性のネットワークができています。

それは、人生の後半を支えてくれる、かけがえのない財産になります。

a stack of legos sitting on top of each other

今日から始めよう

今日、あなたは誰を褒めますか?

家族でもいい。 職場の同僚でもいい。 お客様でもいい。

一人だけ、選んでみてください。

そして、その人の「いつもと違う側面」を探してみてください。

「気になる」ところを、「強み」として捉え直してみる。

そして、それを具体的で温かい言葉で伝えてみてください。

最初は難しく感じるかもしれません。

でも大丈夫。

その小さな視点の転換が、あなたと相手を繋いでくれます。

person holding eyeglasses

視点を変えると、世界が変わる

葬儀の仕事を通じて、私は多くの人の最期を見てきました。

人生の終わりに、人が本当に幸せを感じるのは、 どれだけお金を持っていたかではなく、 どれだけ温かい繋がりの中にいたかです。

そして、その繋がりは、 日常の中で「相手の良い面を見る」ことから生まれます。

あの娘さんも、視点を変えることで、 亡くなったお父様との新しい繋がりを見つけました。

「結活」は、そんな温かい繋がりを、今から、日常から、育てていく活動。

「視点転換トレーニング」は、その第一歩。

あなたの視点が変われば、 あなたの言葉が変わる。

あなたの言葉が変われば、 相手との関係が変わる。

そして、あなたの人生が、豊かになっていく。

a red heart shaped flower hanging from a plant

さあ、今日から始めましょう。

今日、あなたは誰を褒めますか?

その人の「別の側面」を見つけて、言葉にしてみてください。

それが、あなたの「結活」です。


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