お葬式は誰のもの?

a couple of dolphins are swimming in the water

あなたは、お葬式についてどう考えますか?

象は死んだ仲間に鼻で触れ、土をかける。チンパンジーは亡くなった子どもを何日も抱き続ける。イルカは死んだ子を水面へと押し上げ続ける。

どうも葬儀らしきことをするのは、人間だけではないようです。動物たちもまた、死に寄り添う行動を見せるようなのです。

brown elephant on brown field during daytime

彼らに宗教や儀式があるわけではありません。ただ、そこにあるのは、まるで大切なものを失ったことを、体で受け止めようとするような行動です。


受け継がれた「型」と、変わりゆく時代

日本の葬儀は、江戸時代の檀家制度によって「お寺で行うもの」という形が定着しました。それから数百年、私たちは受け継がれた「型」の中で、死者を送ってきました。

けれど今、時代は変わりつつあります。

家族葬、直葬、お別れの会——お葬式の形は多様化し、人によっては「お葬式は簡素でいい」と考える方も増えています。

a clock hanging from the ceiling of a building

一方で、魂やスピリチュアルなものへの関心は、かつてないほど高まっています。


私たちが求めているもの

この矛盾は何を意味しているのでしょう。

おそらく私たちは、「決められた型」から離れて、もう一度、自分の心で死者と向き合おうとしているのではないでしょうか。

象が鼻で触れるように。チンパンジーが静かに座り続けるように。

それぞれが、それぞれのやり方で、大切な人との別れを受け止める。その時間こそが、本当の意味での「お葬式」なのかもしれません。


a statue of a person sitting on a bench

あなた自身が選ぶ、別れの形

お葬式は、故人のものでもあり、遺された人のものでもあります。

だからこそ、形にとらわれず、あなた自身が心から納得できる別れの形を選んでほしいのです。

盛大な儀式がしたいなら、それでいい。静かに手を合わせるだけでいいなら、それもいい。

pink and white flowers

大切なのは、その選択が「世間体」や「義務」ではなく、あなたの心から生まれたものかどうかです。

動物たちが教えてくれるのは、別れに寄り添う「本能」のようなもの。

私たち人間も、その本能を思い出しながら、自分らしい別れの形を大切にしていきたいですね。


でも、本当に大切なのは

葬儀社として、数え切れないほどのお別れに立ち会ってきました。

そして、いつも思うのです。

どんなに心を込めたお葬式をしても、生きているうちに触れ合えた時間には敵わないと。

温かい手を握ること。笑顔を交わすこと。「ありがとう」を伝えること。一緒に食卓を囲むこと。

お互いの息があるうちに、触れ合い、交わり合うこと。それが何よりも大切です。

お葬式は、確かに大切な儀式です。でも、それは「終わり」ではなく、遺された人が再び前を向いて歩き出すための「始まり」。

だからこそ私は、「終活」ではなく「結活」を伝えたいのです。

生きている今この瞬間を、大切な人と豊かに結んでいく。

それが、いつか訪れる別れの日を、後悔のないものにしてくれるから。

silhouette of man standing beside shore under brown sky during daytime

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